「社会の芸術」を考えるための基礎知識

「障がい」「性暴力」「セクシュアリティ」「ジェンダー」「移民・外国人」「部落」「家族」「災害・ボランティア」など、社会におけるアクチュアルな諸問題をテーマにしたレクチャーを開催します。具体的な出来事、アートやポピュラー・カルチャーの作品を挙げて、わかりやすく解説します。連続してご参加いただくことによって、より広く深く内容を掘り下げます。

期間:2016年10月〜2017年3月
場所:東京大学 本郷キャンパス(詳細はメールでお伝えします)
料金:無料
定員:25名程度

<参加申込>
https://goo.gl/forms/SHZIAMwuox0Xdyzl2
※受付を終了しました

<追加申込>
https://goo.gl/forms/enHXWQcoHcNJTX3L2
※各回、10名程度の追加募集をおこないます

<スケジュール>
10月3日(月)19:00〜21:00
「障がい」後藤吉彦(専修大学 准教授)
10月28日(金)19:00〜21:00
「性暴力」牧野雅子(京都大学文学研究科アジア親密圏/公共圏教育研究センター 教務補佐員)
11月4日(金)19:00〜21:00
「セクシュアリティ」岩川ありさ(東京大学リベラルアーツ・プログラム 教務補佐) 
12月22日(木)19:00〜21:00
「ジェンダー」田中俊之(武蔵大学 助教)
2月7日(火)19:00〜21:00
「家族」松木洋人(大阪市立大学大学院 准教授)
2月14日(火)19:00〜21:00
「移民・外国人」韓東賢(日本映画大学 准教授)
2月24日(金)19:00〜21:00
「災害・ボランティア」仁平典宏(東京大学 准教授)
3月3日(金)19:00〜21:00
「部落」齋藤直子(大阪市立大学 特任准教授)


後藤吉彦|Goto Yoshihiko
専修大学人間科学部准教授。神戸大学文化学研究科博士後期課程修了、博士(学術)。主な著書に『手招くフリーク──文化と表現の障害学』(共著、2010年、生活書院)、『身体の社会学のブレークスルー 差異の政治から普遍性の政治へ』(2007年、生活書院)等がある。

牧野雅子|Makino Masako
京都大学文学研究科アジア親密圏/公共圏教育研究センター 教務補佐員。博士(人間・環境学、京都大学)。社会学、ジェンダー研究。著書・論文に『刑事司法とジェンダー』(2013年、インパクト出版会)、『生と死のケアを考える』(共著、2000年、法藏館)、「『性暴力加害者の語り』と安倍談話」『世界』(2015年10月号)、「戦時体制下における出征兵士の妻に対する姦通取締り」『ジェンダーと法』11号(2014年)等がある。

岩川ありさ|Iwakawa Arisa
東京大学リベラルアーツ・プログラム教務補佐。早稲田大学、立教大学ほか非常勤講師。専門は、日本現代文学、クィア批評、トラウマ研究。論文に、「『痛み』の認識論の方へ——文学の言葉と当事者研究をつないで」(『現代思想』2011年8月号)、「境界の乗り越え方——多和田葉子『容疑者の夜行列車』をめぐって」(『論叢クィア』第5号、2012年)など。『美術手帖』(2016年7月号)「2.5次元文化」特集で詩人の川口晴美さんと対談するなどポピュラー文化の研究も行っている。

田中俊之|Tanaka Toshiyuki
1975年東京都生まれ。武蔵大学社会学部助教。博士(社会学)。社会学・男性学・キャリア教育論を主な研究分野とする。著書に『男性学の新展開』(2009年、青弓社)、『男がつらいよ―絶望の時代の希望の男性学』(2015年、KADOKAWA)等多数。「日本では“男”であることと“働く”ということとの結びつきがあまりにも強すぎる」と警鐘を鳴らしている男性学の第一人者。

松木洋人|Matsuki Hiroto
大阪市立大学大学院生活科学研究科准教授。博士(社会学)。専門は家族社会学。主な著書に『子育て支援の社会学――社会化のジレンマと家族の変容』(単著、2013年、新泉社)、『〈ハイブリッドな親子〉の社会学――血縁・家族へのこだわりを解きほぐす』(共著、2016年、青弓社)など。

韓東賢|Han, Tong-hyon
日本映画大学准教授。1968年東京生まれ。専攻は社会学。専門はナショナリズムとエスニシティ、マイノリティ・マジョリティの関係やアイデンティティの問題など。主なフィールドは在日外国人問題とその周辺、とくに朝鮮学校とそのコミュニティの在日朝鮮人。著書に『チマ・チョゴリ制服の民族誌(エスノグラフィー)―その誕生と朝鮮学校の女性たち』(2006年、双風舎 ※現在は電子版発売中)、『平成史【増補新版】』(共著、2014年、河出書房新社)など。

仁平典宏|Nihei Norihiro
東京大学大学院教育学研究科比較教育社会学講座 准教授。NPO・ボランティアに代表される日本の市民社会の歴史・経済基盤・権力との関係等について、社会学的な観点から研究を行っている。主な著書に『「ボランティア」の誕生と終焉 -〈贈与のパラドックス〉の知識社会学-』(2011年、名古屋大学出版会)、『平成史(増補版)』(共著、2014年、河出書房新社)がある。

齋藤直子|Saito Naoko
大阪市立大学人権問題研究センター特任准教授。奈良女子大学大学院人間文化研究科複合領域科学専攻博士後期課程修了、博士(学術)。部落問題研究と家族社会学の観点から、部落出身者への結婚差別問題について研究している。論文・エッセイに「全国部落青年の雇用・生活実態調査結果(4)女性の労働」『部落解放研究』196号(2012年)、「部落出身者と結婚差別」(SYNODOS http://synodos.jp/society/10900、2014年)などがある。

第七回フォーラム「検閲」

検閲を禁じ表現の自由を保障するという日本国憲法の意義が揺らぎつつある。今回は、表現の自由、表現者と文化組織の自律性がより危ういものとなりつつある今日の文化生産の状況を、社会学、憲法学的な視点も含めて考察する。

これに直接的に関わる近年の事例としては、「これからの写真」展(愛知県美術館, 2014年)での鷹野隆大の作品に対する愛知県警察からの撤去指導、「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」(東京都現代美術館, 2015年)での会田家《檄》に対する美術館側からの撤去要請、「ふぞろいなハーモニー」(広島市現代美術館, 2016年)でのリュー・ディン《2013年のカール・マルクス》に対する中国当局による輸出不許可と美術館側の対応などがある。

また、アーティストからは「ある国でのビエンナーレへの出品をキュレーターから打診された際に、主催者の国際交流基金よりNGが出た」「『安倍政権になってから、海外での事業へのチェックが厳しくなっている。書類としての通達はないが、最近は放射能、福島、慰安婦、朝鮮などのNGワードがあり、それに背くと首相に近い部署の人間から直接クレームがくる』とのこと。NGワードをぼかすような編集も提案されたが、結局は他の作品を出品することで合意」(Chim↑Pom)、「国際交流基金では、歴史、特に加害の歴史を扱えない。それを含めるとやんわり断られるが、はっきりした理由は明示されない」(小泉明郎)などの声が上がっている。

このような状況の中、東京都現代美術館は今年「MOTアニュアル2016 キセイノセイキ」展を開催し、これに関連してARTISTS' GUILDと芸術公社が『あなたは自主規制の名のもとに検閲を内面化しますか』を出版した。また、美術評論家連盟の有志がシンポジウム「美術と表現の自由」を開催するなど、「規制」や「検閲」についての様々な議論が行なわれている。

今回のフォーラムでは、表現の自由の意義を今一度根本から問いつつ、表現の自由は歴史的にどのように獲得または規制されてきたのか、何が検閲や事前抑制にあたり、その力を働かせる主体は誰/何か、事後処罰が表現の自由にどのような影響を与えるのか、また、公的機関や公的助成事業において、表現の自由は保障されうるのかといった問題を共有し、これからの文化生産の可能性を探る。


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第七回フォーラム「検閲」
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日時:2016年9月25日(日)13:00〜17:00 ※開場は12:30
場所:東京大学本郷キャンパス構内(参加申込をいただいた方にはメールにて詳細をお伝えします)
定員:115人

<参加申込>
http://goo.gl/84MXpM
※参加申込は前日までにお願いします(定員になり次第、受付を終了します)

【 登壇者 】
岡﨑乾二郎(造形作家、批評家)
佐藤卓己(社会学、歴史学)
志田陽子(憲法学)
藤井光(アーティスト)

【 司会・進行 】
井上文雄(CAMP、社会の芸術フォーラム)
神野真吾(芸術学、社会の芸術フォーラム)